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ブログ - 夏の日の思い出   萬耀庵小林閑徹老居士(横浜支部)

夏の日の思い出   萬耀庵小林閑徹老居士(横浜支部)

カテゴリ : 
ブログ
執筆 : 
八王子支部 2017/8/21 21:27
 昨年の夏の暑い日中、五坪ほどの我が家庭菜園の路地で直径5cmほどの黒い固まりが動いているのを見つけました。
 何かなと思って、近づいてみると、なんと、小さな蟻の大群でした。
よく見ると、仰向けになって足を弱々しく動かしているクマゼミの幼虫が群がる蟻たちに覆われて苦しそうでした。
小さな蟻の大群が蝉の幼虫を襲っていたんです。異様な光景に、ぞっとしました。

 思わず、群がる蟻から蝉の幼虫を救い出しました。
 そして、蟻のいない場所に移して、幼虫の様子を窺っていました。
 だいぶ身体が弱っているようでしたが、しばらくして、なんと! 小生のしゃがんでいる方にゆっくり、ゆっくりと進んでくるではありませんか!

 『お前なあ、俺は木じゃーねーよ。』と声をかけ、近くのお茶の木の下にそっと置いたのですが、それでも、またゆっくり、ゆっくりとこちらに向かってきました。
 なにか不思議な出来事が起こったような気がして感動しました。
 子供の頃、捨て猫に聲をかけていつまでもにゃーにゃーと追いかけて来られ困ったことがありましたがまさに同じ経験です。
今度はお茶の木の枝に掴ませて、『頑張って、蝉になれよ。』と話しかけて、家に入りました。

 どうも昼間の事件が心配になっていたのか、虫の知らせかどうかわかりませんが、夜中の3時過ぎに目が覚めました。
 早速、懐中電灯片手に、蝉の幼虫を昼間掴ませておいたお茶の木の枝のところに駆けつけました。偶然にも、脱皮の真っ最中でした!
 『頑張れ! 頑張れ!うまく脱皮しろ!』と、応援して脱皮を見守り続けました。

  そして、脱皮が完了。
 薄青色の羽がわずかに生えていました。しかし、もう片方の羽が黒ずんでいましたので、少し心配でした。

 しかし、クマゼミになり、青い大空に向かって羽ばたくだろうと思い、うれしくなり、布団に入り安心して眠りにつきました。

 さて、翌朝、食事前に、もう逢うこともないだろうと思いましたが、少し気になって、昨夜の脱皮した場所に様子を見に行きました。
 そこには枝に摑まっている蝉の抜け殻だけがありました。思わずニコっとして、青空を見上げてしまいました。いよいよ、『シャー!シャー!シャー!』と元気に精一杯鳴くことになるんだと思うとうれしくなりました。
 朝食後、また、お茶の木の抜け殻を見に行きました。そして、愕然としてしまいました。
 なんと、木の近くの地面に、脱皮したクマゼミに蟻の大群が寄ってたかっていました。蝉の姿も見えないほど群がっていました・・・。

 彼の人生一体なんだったんだろう。
 土の中でのおよそ5年間、そして、ようやく蝉になったのに、あっという間に人生が終わってしまったのです。なんとも言えないさみしさ、虚しさを感じ家に入りました。
 そして、数時間後、蝉の姿は跡形も無く、大群の蟻たちも一匹もおりません。 まさに土に帰してしまいました。
   私たちもいずれ土に帰すことになります。

 江戸時代、静岡に過ぎたるものが二つあり。富士のお山と白隠禅師、
と歌われて有名な白隠禅師の詩の一節に

『閒(カン)蟻争い曳く 蜻蜒(セイテイ)の翼』とあります。


 お互い、今を大切に、生きたいものですね。

小林   拝
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